5キロ4200円突破!日本の「米袋」危機の背景:気候変動、高齢化、インフレの三重苦

2025.05.26 | 日本生活

日本のスーパーで目立つようになった米価格の異変。農林水産省が発表した最新データによると、2024年5月第2週の全国小売価格は5kg当たり4268円(約210元)を記録し、過去最高値を更新した。この「主食インフレ」は昨秋以降7度目の最高値更新となる。

価格体系の深層では重大な変化が進行中だ。初めて導入された品目別統計で判明したのは、単一銘柄米(4434円/5kg)とブレンド米(3895円/5kg)の二極化現象。全体の7割を占める高級米需要の持続性が、家計の負担増に拍車をかけている。

複合的な要因がこの価格高騰を引き起こしている。2023年夏の記録的猛暑と干ばつが新潟・秋田など主要産地に大打撃を与えたことに加え、農業従事者の高齢化が深刻化。水田面積が年率1.3%で減少する中、化学肥料価格はパンデミック前比68%上昇し、生産コストが暴騰している。

需要面では外食産業の回復が新たな圧力に。業務用米需要がコロナ禍前比23%増となる一方、家庭消費は横ばい状態が続く。特に価格抑制の要だったブレンド米の供給量が15%減少し、結果的に同品目の価格上昇幅(54円)が高級米(36円)を上回る逆転現象が発生した。

この主食危機は社会構造のひずみを露呈させた。総人口の18%を占める高齢単身世帯や低所得層では、主食支出比率が5%から7.2%に急上昇。SNS上では「5kg4000円の心理的防衛ライン崩壊」を嘆く声が相次ぐ。在日中国人コミュニティでも、麺類への主食転換や雑穀ミックス比率の調整といった生活防衛策が広がりつつある。

専門家は「米価変動は気候危機・少子高齢化・グローバルインフレという現代社会の三重苦を映す鏡」と指摘する。食卓を支える基本食材の値上がりが続けば、家計の耐性限界を超えるだけでなく、国家の食糧安全保障そのものが問われる事態にも発展しかねない。白米の値札に刻まれた数字が、日本社会の未来を予兆している。